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「編集者・ライターの生存戦略」:ライフハッカーイベントメモ

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ライフハッカーのイベントに参加してきました

ども、デイブでございます。このブログは結構ガジェットやホットクック料理などのネタが多いのですが、時々本業というかお仕事関連で行ったセミナーやトレーニングなどのメモも投稿しています。今回もそういうエントリになります。本日参加したイベントはこちらです。

ライフハッカー[日本語版]が開催した、「編集者・ライターの生存戦略 -(ひとまず)10年後も生き残っているために必要なこと-」というパネルディスカッションです。場所は渋谷道玄坂にある「BOOK LAB TOKYO」さんでした。

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パネラーは、左から竹村俊助(たけむら しゅんすけ)さん藤村能光(ふじむら よしみつ)さん長谷川賢人(はせがわ けんと)さんのお三方。

竹村さんは、現在フリーの編集者で、日本実業出版社→中経出版→星海社→ダイヤモンド社→7月よりフリーになったばかりの方です。真ん中の藤村さんは、現在サイボウズ式というサイボウズの自社メディアの編集長。左の長谷川さんはライフハッカー[日本版]の副編集長やオンラインメディア「北欧、暮らしの道具店」の編集スタッフを経て、現在フリーランスでライターや編集者をされている方です。

フリーランスの書籍編集者、オウンドメディア編集長、フリーのWeb編集者/ライターという異なる立場のお三方が、「今後10年間の生存戦略」をテーマにお話されるというイベントでした。

なぜこのイベントに参加したのか

今回特にお話が聞きたかったのはサイボウズの藤村さんでした。私も事業会社で、主にB2Bのデジタルマーケティングを担当しています。最近思うのは、オウンドメディアが担う役割の変化、です。

お客様の購買行動の変化やマーケティングオートメーションの活用が進むにつれ、オウンドメディアは製品情報の公式発信メディアとしての役割だけでなく、新しいお客様を獲得し、またお客様になっていただいた方をファンとしておもてなしし、さらに新しいお客様を連れてきてもらうための重要なインフルーエンサーとして活動していただけるようにサポートする、といった役割にシフトしています。

サイボウズ式は、サイボウズの製品・サービスの紹介を完全に超えて、サイボウズという会社のビジョンやミッションを伝えるメディアになっていると思います。その点、社内ではどういう位置づけになっているのか、どういう人がどんな組織や体制で作っているのかが非常に気になっていたので、今回参加させていただきました。

イベント開始!メモ形式で掲載します

ここからは、実際のテーマと各パネラーの方の発言を箇条書きにまとめていきます。ちなみに、プロジェクターにはこんなお題が投影されていました。

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まずはパネラー3名の自己紹介から

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竹村俊助さん(フリーランスの書籍編集者)

  • 出版社を何社か勤務して、今年7月からフリーランスの編集者になったばかり(4日前だそうです!)
  • 「たった1分で人生が変わる片づけの習慣」などの編集者
  • 売れなくても、ネット界隈で話題になる本を出したいと思っている
  • フリーランスになる前となった後の変化:まだ4日目なので。でも現状みなさん暖かく受け止めてくれている。
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藤村能光さん(オウンドメディア編集長/サイボウズ式)

  • サイボウズのビジネスマーケティング本部勤務
  • ウェブメディア ITメディアの記者からキャリアスタート(4年)
  • そのあとサイボウズでサイボウズLiveのマーケティングを担当。事例記事、取材、プレスリリース、カスタマーサポート、広告、ソーシャルメディアなど
  • その後で「サイボウズ式」の編集長に就任 株主総会など、ステークホルダーとのコミュニケーションを担う
  • オンラインメディア→マーケティングコミュニケーション→自社メディアという経歴
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長谷川賢人さん(Web編集者/ライター)

  • 会社勤務からライター志望としてライフハッカーに転職
  • 転職して「北欧、暮らしの道具店」に参加
  • フリーランスで1年半。各種サイトのライター・編集者を経験
  • ヨッピーさんとかARuFa君とかは4番打者だけど、自分は7番バッターとして必要な・重宝がられる場所を目指している(丁寧に拾いに行こうとしている)
  • 今はライター:編集=5:5
  • 「長谷川さん忙しいからな」とかみんなに思われたらフリーランスは死んじゃう
  • 最近末広町に事務所を借りました!

テーマ①「フリーか会社員か」

竹村:フリーになった理由

  • 出版業界は「出版危機」と呼ばれ久しく、みんなそれに麻痺してしまっている
  • 自分は良い筆者の人に出会ったら、できるだけ多くの人に読んで欲しいと思うタイプ。「良いコンテンツを広める」ことを第一に考えるなら、本というパッケージにこだわらず、3,000文字位ならNoteに書いて発信するのでもいい~でもそれは出版社をまたいではできないから、フリーになった
  • 例)ダイヤモンド社では健康書は出せない(合わない)。健康関連の書籍なら、サンマーク出版で出した方が刺さる
  • フリーなら、縦横無尽に、著者の良い部分をメディアを超えて売り出せる
  • さらに、編集者個人がSNSなどを通じて発信できる時代になっている。出版社の発信力だけに頼る必要がない
  • 力関係も変わってきた。フリーのライターや編集者個人が発信することを織り込んた形で、出版社に企画を提案できる(ソーシャルでの認知度を計算した上で提案できる)
  • 独立までにTwitterフォロワー1万人を目指して実際に達成した

長谷川:フリーになるメリット

  • 金銭面では確実に美味しい。やった分だけ増えるから会社員よりは良い
  • デジタル界隈は、仕事は増えたけどライターがいない。ある程度できれば仕事はついてくる。単価も上がっている印象
  • 個人としての興味・関心事が複数ある場合、それを軸に仕事に幅を持たせられる。自分も午前「お酒メディア取材」、午後「声優インタビュー」、夜「対談まとめ」などの仕事ができる
  • 一方で、専門領域が深まらない。また事業として・チームとして動けないので、大きな仕事ができない。予算配分などコアの部分にはタッチできない、などの限界は感じる

藤村:サイボウズの正社員のチームとしての強さとは?

  • 今の仕事をしていて、フリーとか、会社員とかをあまり意識したことがない。ただし、自分が向いていること、向いていないことははっきりしている
  • 編集者やライターのすごい人と比較すると、短期での突破力は乏しいと自己分析している。一方で、自分は長期でじわじわ構築するのが向いている
  • ITメディアから事業会社に転職して、今またメディアの世界に戻ってきているのは想定外だった。サイボウズの中で、向いている仕事(伝える仕事)をやってきたら、こういうこと(自社メディアの編集長)になった

テーマ②「紙かWebか」

竹村:出版社にいないからできること

  • 正直そこはこれから~Shibuya Publishing Book Sellersさんのメディアを盛り上げてほしい、というお話があった。Webメディアやってみたかったので、これはWebじゃないと、またフリーじゃないと取り組めない仕事だと思う
  • 「紙とWeb」の違い~時間軸・時間感覚の違い。紙は3年がかりなどある。Webはもっとショートターム。
  • 本来が、目的によってメディアを使い分けるようにしたい。まだ、Noteがバズるのは1日・2日。本棚だとそこに書籍が残る。あるいみ暴力的とも言える存在感。フローとストックを使い分けたい。その自由度があるので今後はそうしたい
  • さらに「自分でも書きたい」という思いも出てきた。1冊自分で書いたり、Note書いたりしてライティングの欲もでてきた
  • 編集者とライター:良いライター=背景・情報・などがわからないとだめ=良い編集者でもある。編集者視点でライティングできるような方向を目指したい

テーマ③「編集者が考える理想のライター」

竹村:

  • 文章の「てにおは」は校正者が直してくれる。文章の美しさもどうにかなる。でも、大事なのは面白がってくれること、また面白がってくれるポイントが同じであること。技術ではなく、性格的な部分での相性。ツボをついているライターさんが自分にとって良いライター

藤村:

  • インハウスエディター(事業会社内の編集者)としてライターに重視していること=視座が同じであること。事業会社の運営するメディアであるので、ビジョンがある。そこに向かっているコンテンツ発信でなければならない。またそこからブレないことが他のすべてのメディアとの差別化につながる。なぜ、なんのためにやっているのか。「なぜそれをサイボウズ式でやらなければならないのか」が重要
  • つまり、カルチャーフィット。単純なコンテンツ開発だと外注で可能だが、自分を通してコンテンツを体現するにはスキルじゃなくて、カルチャーにフィットする人が事業会社に入って育つことが重要。

長谷川:

  • 共感力=メディアタグライン・コンセプト・ビジョンを理解してアウトプットできるか
  • メディア側の人間としてライターさんに希望することは「現場で安心させてくれる人」これ超重要。
  • Webは時間内にどれだけ多くのものを持ってくれるか、が非常に重要。再取材などはできないことがほとんど。だからライターさんには、「この一度きりのチャンスで、どれだけ良いものを引き出せるか」、というポイントで一緒に伴奏してほしい

テーマ④「共感力を育てるには」

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藤村:

  • 記事を読んで、どういう人に向けて、なにを伝えようとしているのかを自分で考え、言語化してみるトレーニング。サイボウズ式では下記5項目を必ず確認している
  1. タイトル
  2. 想定読者
  3. なんて言って欲しいのか
  4. なぜサイボウズ式でなぜやるのか
  5. 企画担当者の思い

テーマ⑤「頼みやすい人とは」

長谷川:

  • 20代くらいでも仕事を頼める40代の特徴~人当たりが良い。楽しい。付き合いやすい重要。間違っていても怒らずに教えてくれる
  • ストレングス・ファインダーやってみた。5つの強みのうち、1つは「最上思考」。他の4つはすべて他人とのコミュニケーション能力に関連することだった
  • 現場が思い浮かぶようなライターになれば、仕事はついてくる
  • この人に頼めば「安心できる」と思われるライターって実は結構少ないかも

藤村:

  • 自分の場合、ストレングス・ファインダーの結果は:「内省」と「アレンジ」だった。内に内に掘り下げるのが好きなのが自分だということを理解して仕事をしている。
  • ストレングス・ファインダーのように強みを確認することで、自分らしさの中で頼まれやすい編集者像やライター像が浮かび上がってくるのでは?

テーマ⑥「仕事がまわってくる人脈の作り方」

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竹村:

  • 昔は飲み会などを企画していたが、今は自分がやりたいことをSNSなどでつぶやいていると、それに反応してくれるひとやアドバイスをくれる人がでてくる。引き寄せが働く
  • 手紙を書く。佐藤可士和さんも超正面突破で行った。代表アドレスにメールを送った。もちろんダイヤモンド社というブランドも助けてくれたと思うが、個人の思い、ラブレターはちゃんと伝わる
  • ちょっと目線を高くして、会いたい!と思ったらチャレンジしてみて良い。ちゃんとコミュニケーションしたら、マイナスはない。
  • 人間は、自分に興味を持ってくれた人にはなにか返信したいと思うもの

長谷川:

  • 自分はフリーの編集者でライターだが、実は営業はしたことない。自分からやりたいこともない。ここで書けたらいいなぁ、ともあんまり思ってない。名刺交換してもダメ。紹介の紹介が多い。他の編集者の紹介、会社内での紹介、人当たりが良いとつながる。締切守るとか超重要(自省も込めて)

藤村:

  • 関係性の有無ってすごく大事。直接のお仕事だけではなく、なんでもあるのでは。インタビュワーとインタビュイーくらいのつながりだとダメで、もう一歩踏み込む。企画者の思いなどをしっかり伝えられると、その後の会社見学や、飲み会などに繋がり、なにか違った関係性を構築できる。そこから紹介されたり。Webだと、一過性で終わリがちだけどそれで終わらせるのはもったいない

テーマ⑦「10年後どうなっていたいか」

竹村:

  • 出版社を作りたい。今はお金を貯めるフェーズ。ただ紙だけじゃなく、イベントやWebもやるかもしれない新しい出版社を作りたい。あと、おしゃれなオフィスが欲しい。1Fにサードウェーブコーヒーなんかが入っているような。女子大生のインターンもいるような(笑)。最近本当に言ってると叶うと思う
  • 幻冬舎やNewsPicksくらいしか盛り上がってない。それを変えたい

藤村:

  • 10年後やりたいことはない。人間には2タイプあり、やりたいことがある人と、ありたい姿(どういうふうに生きていると幸せか)がある人。自分は明らかに後者。
  • ただ、生き方は変えたい。会社1本で、会社にすべての資産が残るのではなく、自分の社会資本の蓄積=人間関係・信頼などのお金にならない資産を構築したい
  • 自分はお金の使い方は下手だ。自分が信頼する人やプロジェクトに対してお金を出す
  • 35で中間管理職。40代と20代の間でどう働くかを考えたい
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長谷川:

  • 事業会社の中で編集者が仕事になるのは希望。10年後はもしかしたら編集者として会社員をやっているかもしれない
  • 自分がフィットできるいい会社があれば、そこに飛び込む可能性もある
  • 日本全体の労働人口が減ってきており、転職年齢が40代になってきている。別の会社で、言葉を使ってコミュニケーションすることで貢献できると思う
  • 事務所を作って思った:事業って愛おしい。ゴミ箱を買っても、ネットが開通してもすごく嬉しい。
  • フリーランスだと仕事を待つだけだけど、事業をやれば自分で仕事を創り出せる
  • NTTコムウェアの海野さんを取材した=社内向けブログが本(「働きがい」の伝え方)になった人。海野さんによれば「人間は言葉でしかコミュニケーションができない。お互いの常識はずれていることをわかった上で、それをすり合わせる必要がある。それには言葉を使うしかない」。
  • 世の中とは全然違う常識があったときに、それを言葉にして、別の人に言葉で渡すことで、別の人の選択肢を増やすという仕事は重要で、失われない仕事だと思う。これはライターにとどまらない。地方自治の現場かもしれないし、事業会社の中にいるかもしれないけど、本質的な価値に迫れる能力いつどんな時代でも価値がある

Q&A「『編集者視点を持つライター』になるために今日からできること」

竹村:

  • Noteおすすめ。どれくらいの人が見てくれたか、というのがシビアにわかる。著者やライターが何をいっても、初版で終わるか、重版かかるか、受けるか、受けないか、売れるか、売れないか、という視点は重要。受けると思ったものが受けない、ひょこっと書いたものが受ける、毎日の試行錯誤・実験・PDCAが役に立つかも。NoteがきついならTwitterでも。

藤村:

  • 読者にあって話を聞くこと。読者にはどうつたわるか、主観・客観の違いを理解する。自分が想定した方にどう伝わるかを実際にSNSのコメントや、実際にお会いして話を聞くのは参考になる。次の企画のタネにもなるからおすすめ

長谷川:

  • 実際に企画を立てて誰かと作ること。Webというプラットフォームはフラットに機会がある。ニコニコ動画で50万再生。企画をするだけじゃなく、お金を払って作ってみる。いろいろな学びがあるはず。メディアを作ってしまえばベストだが、Noteも良い媒体かも
  • そっち側に実際に回ってみる。今はそれが可能な時代になっている

イベント参加後の感想

立場の違うお三方でしたが、いずれも「自分という人間をよく知っていること」が編集者でも、ライターでも、事業会社の自社メディア担当でも重要であること、は共通していました。自分という器を通じて、社会に対してどういう表現や貢献ができるのか、それを能動的にに行なうのか、受動的に行なうのかは、それぞれの個性や強みにあった形でした達成できないのだというメッセージを受け取りました。

自分を振り返れば、私もキャリアをコンピューター雑誌の編集者でスタートし、事業会社に転職して、いまだにウェブ、メール、広告、動画、eコマース、マーケティングオートメーションなどツールやメディアは変わってきましたが、共通して「何かの本質的な価値をベストな状態でそれを必要としている人に届け、そして何かのアクションを起こさせる」、という仕事をしています。特に事業会社の場合、後半が非常に重要で、目からうろこが何枚落ちようとも、感動して滝のような涙を流しても、その人の行動に変化をもたらさなければ何の意味もありません。その根本から外れず、事業会社のカルチャーやビジョンを踏まえた上で「ぶれないメディア」を作らなければならないことを理解しました。

今回のイベントでは、まさにそのようなお仕事を担っていらっしゃる藤村さんだけではなく、竹村さんや長谷川さんのお話でもそれが立体的に証明される形で非常に深くささりました。まだ先ですが、確実で、しっかりと明るい方向性が見えてきた気がして本当に参加してよかったと思えるイベントでした。

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