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【マンガでわかる管理会計】ブックレビュー:ビジネスリーダーの決断を後押ししてくれるのは、ルールじゃなくてツール!

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ども、デイブでございます。今回は、「マンガでわかる管理会計: はじめてでもわかる儲けのからくり」(オーム社刊・原尚美/著・鎌尾こんぶ/作画)を著作者であり税理士の原尚美先生よりいただきました。その感想を書かせていただこうと思います。

結論としては、「財務会計」と「管理会計」の違いもわかっていなかった私が、「ビジネスパーソンが学ぶべきはまずは管理会計!」と確信するようになりましたので、ちょっとでも気になった方はぜひチェックしていただきたいと思います。

管理会計ってなにそれ美味しいの?だった私…

私は長年マーケティング畑でお仕事をさせていただいているので、いわゆるマーケティングROIアールオーアイ(リターン・オン・インベストメント)という考え方には常日頃接しています。MROIは、いわゆるマーケティング活動にともなう投資効果を表す指標です。

しかし、経営者の立場で会社の経営戦略全体を考えて仕事をしたことはありませんでした。今回この書評のお話を頂いて、書籍の帯に書かれている「リーダーのための必勝ツール管理会計を学ぶ」という文言を読んだ時、これは不勉強な私でも、会計の知識が得られるのでは?と思っていました。

ぱんだ㊙

でも、実は読み始めるまで財務会計の本だと思ってたんでしょ!

デイブ

そ、そうなんだよね。「財務会計」と「管理会計」は同じ会社のお金の話なんだけど、全然違う目的で使用されるってことさえ知らなかったよ

そう、恥をしのんで告白しますが、会計の本と言ったらいわゆる「財務三表」、つまり「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」しか知らなくて、まぁ以前にもあった財務三表の読み方をマンガで解説した本だろうな、と思っていたのです。

でも、本作を読み終えた今、財務三表以上に、ビジネスマンにとって「管理会計をツールとして使いこなすこと」が非常に重要であると確信しています。

特に、最近の外出自粛の状況を鑑み、刻一刻と変化する環境の中で難しい決断をしなければならないビジネスマンにとって、管理会計はその決断をサポートしてくれる大事なツールなんですね!

作者の原 尚美先生について

はら 尚美なおみ先生は、「原&アカウンティングパートナーズ」(原会計事務所)の代表を務める税理士さんです。

税理士としての豊富な経験を元に、10冊を超える著作を出版されており、最近YouTubeチャネルも開設されています。下記は著作の一部です。

原 尚美先生は、ミャンマーでも会計サービスのお仕事をされています。現地では財務会計よりも管理会計について学生が熱心に学んでいるのを見て、日本でも管理会計をわかりやすく説明する本が必要だと思い、この書籍を執筆されたそうです。

「マンガでわかる管理会計」とは

「マンガでわかる管理会計」は、さくら製菓という製菓会社を舞台にして、様々なトラブルを管理会計の知識を使って乗り越えていく様子が描かれます。

社長でお菓子作りは天才だけれど、数字には弱い父・佐藤杏一郎、そして本書の主人公で数字に強い娘の桃子。またいつも社長と対立するさくら製菓経理部の古田部長と、杏一郎の幼馴染の会計事務所代表の鮎川百合が主な登場人物です。

[richlist title=”さくら製菓が直面する主なトラブル”]
  • 売上とコストでみると赤字のスイーツフェアに出店するかどうか?
  • 「さくら饅頭・最中・餅・羊羹」のうち力を入れるべき製品は?
  • 「値引きとおまけ」どちらを実施すべきか?
  • どこから、いくらコストダウンすべきか?
  • 新製品の「さくらロール」は設備投資して作る? 外注して仕入れる?
  • 固定費の高い銀座店…撤退か否か?
[/richlist]

どれも実際に毎日企業の経営者が判断を迫られている切実な悩みだと思います。社長は菓子職人としてのカンに頼り、いつも財務会計のプロである経理の古田部長と対立しています。

それを見かねた娘の桃子が、管理会計のプロ・鮎川百合に相談をしながら「管理会計というツール」をフルに活用して難題を乗り越えていく姿が描かれています。

財務会計と管理会計との大きな違い

財務会計はルール、管理会計はツール

原先生は、本作の中で非常にわかりやすく財務会計と管理会計の違いを解説してくれています。

  • 財務会計は外部のステークホルダー(株主や銀行など)に見せるためのものなので表記方法には世界共通のルールがある
  • 管理会計はリーダーが会社の内部で意思決定を下すためのツールであり、定義や仕分けは業務内容に従って決める

これを読んで、管理会計がなぜ重要なのか、腹にストンと落ちました。会社経営は水物なので、過去のスナップショットだけでは未来を占うことはできないし、企業のサイズやビジネスモデルによっても取るべき戦略は異なりますよね。

様々な選択肢がある中で、会社を取り巻く最新状況を踏まえてこれから未来に向けて利益を最大化するための戦略とは?~この難しく、厳しい課題に打ち勝つためにリーダーが使えるツールとしての管理会計、非常に重要なのがよくわかりました。

各章の目次と学べる内容

鎌尾こんぶ先生の作画はとてもかわいらしく、見ていて楽しかったのですが、各章で紹介されている項目はどれも歯ごたえのあるものでした。主な内容は下記のとおりです。

タイトル学べる管理会計の内容
第1章管理会計で意思決定する財務会計と管理会計の違い
固定費と変動費
埋没原価と機会原価
限界利益
第2章損益分岐点分析の基礎を知る損益分岐点とその分析
ボトルネックがある場合の意思決定
第3章管理会計で現状分析する固変分解
変動損益計算書
第4章管理会計でコストダウンする固定費の配賦
原価計算
活動基準原価計算(ABC)
第5章管理会計で新規事業を検討する安全余裕率と損益分岐点比率
利益率・利益額と利回り
簡易キャッシュフロー
回収期間法と投下資本利益法
正味現在価値法

桃子が数学が得意なだけあって、とくに後半の章で鮎川先生と数学を駆使してぐいぐい分析をすすめるシーンは、さらっと読んでしまうと理解できないところもありました。

しかし、しっかり読み込めばすべて理解できるよう全編丁寧に書かれていますので、最後までなんとか理解することができました。

各種の分析に便利なExcelの関数(INTERCEPT, IRR, NPV, SCOPE関数など)についても紹介されていますので、Excelが使える人は自分でもすぐシミュレーションできると思います。

(おまけ)古田部長のコラムがいい味を出している

各章の最後に、経理の古田部長が財務会計のプロの立場からコラムを書いてくれているのですが、これが財務会計と管理会計の間の考え方の違いを解説してくれています。財務会計に関する書籍やマンガを読んでいた頭には、違いを整理する上でとても役立ちました。

財務会計と管理会計の果たす役割はそれぞれ違うので、どちらが重要か、ではなくどちらも重要だということが理解できました。この構成ナイス!だと思います。

読後の感想

最後の183ページで、桃子の決断を鮎川先生が後押しするシーン。鮎川先生の励ましに「そうだといいな!」と願いを込めて答える桃子の姿。

冒頭「はじめに」で原先生が「切なる願い」として日本のビジネスパーソンに向けて送るエールに応えるようなセリフに、ちょっと涙ぐんでしまいました。

ぱんだ㊙

なんでこのシーンで泣くかなw

デイブ

おっさんになると、涙腺がゆるみまくりなんだよね…

ビジネスリーダーが背負う大きな責任とプレッシャーはいちビジネスマンとしてはなかなか想像できないものでした。でも「ルールである財務会計と、ツールである管理会計」をフルに活用しても、更に決断を迫られるシーンの連続なんですね(機会損失に関しても第1章で解説されています)。

ツールはツールであり、答えそのものではない。しかし、そのツールがなければ思いつきやギャンブルでステークホルダーや社員に取り返しのつかない悲劇が訪れてしまいかねない…ビジネスリーダーは責任を負いますが、ビジネスパーソンとしても同じ目線で会社経営を理解することで、リーダーの正しい選択を支援できるようになると思います。

そういう意味で、リーダーはもちろん、ビジネスパーソン全員が活用できるようになるべきツールだと確信しました。日常業務でも応用できそうなので、早速使ってみたいと思います! それでは!

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