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ども、Daveでございます。今日は、渋谷の「FabCafe Tokyo」で行われた、vook主催のイベント「videographer’s NIGHT」に参加してきましたので、その内容のメモを共有したいと思います。
ちなみに、申し込み開始からかなり早いスピードで定員40名が埋まってしまったとのこと。私は早く到着したので壁際のソファに座れましたが、みなさん床座りしながら熱心に内容を聞いていました。
タップできる目次
①本日のイベントの目的(vook 岡本俊太郎さん)
- 今、動画制作を取り巻く環境は大きく変化している
- 大きな予算がつくプロジェクトは横ばいだが、その一方で小規模 or 極小な予算の動画(AIを活用した自動生成動画など)のニーズは増え続けている
- さらに一番大きく伸びているのは中規模予算のプロジェクト。このクラスの場合、撮影から編集(カッティング、カラコレ、カラグレ)まで、全ての作業を1人または少人数で行う必要がある
- でも、それって実はすごく大変なこと。だから、こういうイベントでスキルやナレッジを共有したいし、横のつながりを作って助け合いたい
②カラーグレーディングの基礎の基礎(4thFILM 曽根隼人さん)
カラコレ・カラグレの基本的なワークフロー
- カラコレ:撮影時に人間の目で見たママの映像に戻す
- 全体的なカラグレ:表現したい色味(Look)に近づける
- 部分的なカラグレ:特に細かく調整を行い、効果を際立たせる
例えば化粧品だと、カラコレ・全体のカラグレのあと、肌色に特化して細かく色味を調整したり、メインとなる商品などに一番時間をかける必要がある。つまり、1や2の工程にはあまり時間をかけられない
カラーコレクションとカラーグレーディングの違い
- 「カラコレ=調整」。撮影時に収録された素材が、人間の見た目みたとおりに撮影できることはあまりない。なぜなら、人間の目と脳は生で見ているものには補正をかけてしまう。
- 動画素材としてみたときに、記憶の色味に戻していく作業がカラコレ。普通に戻す
- カラコレのポイント3つ
- コントラスト:暗い部分はより暗く、明るい部分をより明るくする(色域を十分に活用する)
- 彩度:色味の強さ・鮮やかさを自然な形に
- ホワイトバランス:白いものをただしい白に
- これらの作業はAdobe Premiere CCやFinal Cut Proでも十分可能
カラグレ(全体・部分)とは:意図したLookを実現すること
- Davinch Resolveの操作に習熟すること=良いLookを表現できるということでは決してない
- 一番重要なポイント:自分が目指しているゴール=たどりつきたいLookはなにかが明確になっているか?
- 例えば広告であれば、クライアントの最終的な目的はなにか。飲料ならおいしそうに見える、飲みたくなる。映画ならシーンで伝えないメッセージをサポートする、あるいはさらに補強する
- 優秀な監督ほど、目指すLookが最初に決まっていて、カメラマンや照明などスタッフのキャスティングもそれに沿って行うし、台本にLookのゴールが落とし込んである
- 「アメリの映像っていいなー」=そこで思考を止めず「じゃアメリっぽいLookってどういうことなの?」というのを数値に分解できることが大事
- 数値的な分解には、軸があるのでそれは覚える必要がある
自分が目指すLookの分析と分解方法
- RGB(光の三原色)・CMY(印刷)の色味で把握する
- HSL:色を「色相(Hue)」「彩度(Saturation)」「輝度(Lightness)」で表現
- 色の明るさ(領域)の分解方法
- シャドウ
- ミッドトーン
- ハイライト
上記の組み合わせでシーンを分解し、他人に伝えるときもこれを意識して伝える。「ハイライトがY(イエロー)に寄っているから修正」とか「ミッドの肌色をもうちょっとM(マゼンダ)に寄せて」など
参考となるLookを探す方法
- 曽根さんのオススメ1:Pintetestで自分の気に入ったLookの写真をピンすることで、同じようなLookの素材がいっぱい集まってくる。それを分析してみる
- 曽根さんのオススメ2:WebサービスのFilmGrabで好きな映画のクリップが大量に見られるので、それを手掛かりに動画のLookを探るとよい
③写真の現像手法を応用した動画のグレーディング(bird and insect 林裕介さん)
- birds & insectsでは、写真の現像手法を応用したカレーグレーディングを行っている=Adobe Lightroom CCを使用
- 動画から静止画を切り出してLightroomに読み込み、同ソフトの機能を使ってLookを決定し、LUT(Look Up Table)を書き出す。そのためには、Export LUTというプラグインは必要($9.95~約1100円)
- メリット:写真と動画のルックを完全に一致させられる
色を変えるとはどういうことか?
- 「フィルムルックを目指しているけどうまくいかないケース」を例にとって説明
- 色を変える or 希望のLookに近づけるときに注目するポイントは実は3種類しかない
①トーン=明るさの変わり方の違い
- フィルムは明るさが急激に変化する。急に明るくなったり、急に暗くなったり
- 一方デジタルは、きれいに均等に明るさが変化する
- Macなら、標準のDigital Color Meterでこのカラーパレットの色をチェックしてみれば一発でわかる
②フェード
- フィルムには、実はR:G:B = 0:0:0、つまり「真っ暗」は存在しない
- デジタルならあり得る
③色の違い(色かぶりと色転び)
- フィルムの場合、グレーの部分(無彩色部分)であっても、シャドウ・ミッド・ハイライトで異なる形で色がかぶる
- さらに、個別の色ごろに異なる変化が起こる=色ごとに色相が開店する=色転び
結論:トーン、フェード、色かぶり・色転びを意識して調整すると、グレーディングが完成する(その意味でも、近づけたいLookのサンプルが有効)
Lookを調整しおわったら、Export LUTを使って生成したLUT(.cubeファイル)を書き出して、それを例えばAdobe Premiere Proなら調整レイヤーに同LUTを当ててカラグレする。
お2人への質問コーナー
左:林さん、右:曽根さん
質問:どうやって自分のLookを改善し続けるか
- いっぱい映像を見ること。どんなシーンが好きなのかを自分でしっかり把握しておくこと
- トレンドもチェック。instagramやVimeoなど、クオリティの高いクリエイティブが公開されるプラットフォームは要チェック
- 映像を仕事にしている人は写真をよく参考にしている。写真を仕事にしている人は、絵画やほかの別の分野のクリエイティブをチェック
最後に:イベントに参加した感想
仕事で時々ビデオ編集したり、YouTube用の動画を作成している割に「カラコレ」「カラグレ」って何、おいしいの? という感じでしたが、今回の「カラーグレーディングの基礎」に参加してちょっとびっくりしました。
それは、本業のデジタルマーケティングでも同じことをアドバイスする機会が多いからです。「デジタルだからといってHowに気を取られず、WhatとWhyの見極めが重要」と。いったい、何を実現したいのか。それは何故なのか。そこがぶれてしまい、テクニックだけで手を動かし始めてしまうと、そもそも正解にたどりついているのかどうかも危うくなってしまいますよね。カラグレも全く同じということにハッとさせられました。
曽根さんや林さんといった第一線のプロの方でも、センスや感覚だけでLookを決めているのではなく、クライアントとのコミュニケーションや、あるいは自分が目指している表現をしっかり確認することで、初めてゴールが設定でき、やっとその後でそこに至るためのHow(ビデオ編集ソフトによるカラコレ・カラグレの方法)が登場するというわけですね。非常に勉強になりました。
ちなみに、本日情報解禁ということですが、vookでは来る2019年4月15日・16日の2日間、Google本社の移転も予定されている「渋谷ストリーム(SHIBUYA STREAM)」において「Video Grapher’s in Tokyo」というイベントを行うそうです。ブース展示やセミナー、ワークショップなど多彩なプログラムを予定しているそうですよ。私もぜひ参加してみたいと思います。それでは、また!