AIと仕事

公開:2026年10月12日
AIの画面から原石が次々とベルトコンベアで運ばれてきて、人の手がその一つを輝く宝石に磨き上げている絵。横のノートには黄色い線の1行。AIが出すのは原石、磨くのは会社の正しさ、という考え方を表している

デイブ田中こと、田中 訓(たなか さとし)です。

  • 組織にAIを入れて、現場で使われ続けるところまで持っていくのが、私の仕事です
  • AIに任せるのは作業。会社の「正しさ」は、人と会社が持つ。そのための型と道具を作っています
  • 研修・ワークショップ、AIの導入、登壇、取材のご相談をお受けしています

各節の見出しの後ろに、実際にやったこと考え方説明用の例のどれかを付けています。

10月22日、ad:tech tokyo 2026 に登壇します。セッション「エージェンティックAIはマーケティングをどう変えるのか ── 計画・実行・購買まで担うAIのインパクト」で、「仕組み化・実行」の観点を担当します。話した内容と補足は、当日の夜にこのページへ追記する予定です。

1. 私がしていること:3つの仕事実際にやったこと

スリーエム ジャパンで、マーケティングの仕事にAIを組み込み、部門をまたいで広げる役をしています。やっていることは、大きく3つです。

このページの考え方や進め方は、公開できる範囲での私個人の経験と見解です。勤務先の公式な見解ではありません。

3つの仕事:教える、一緒に作る、自分で作る
図1 やっていることは3つ
  • 教える 社内の勉強会で、AIに仕事を頼む「型」と「判断の軸」を伝える
  • 一緒に作る 取引先とのワークショップで、参加する人の業務をAIに頼める形にする
  • 自分で作る AI翻訳のように、AIを前提にした業務の仕組みを自分でも作る

どれも、AIのツールを入れただけでは終わらない部分です。使い方を決め、現場で試し、直したことを会社に残す。そこまでを仕事だと考えています。

2. AIに任せるもの、会社が持つもの考え方

AIが出すのは原石です。磨くのは、会社の正しさです。

AIが原石を出し、人と会社が磨いて、会社の正しさになる
図2 AIが出すのは原石。磨くのは、会社の正しさ

AIに任せる範囲は、これからも広がります。それでいい。ただ、線を引く基準は、AIの能力ではなく「誰が正しさを決めるか」です。能力で引いた線は、AIが賢くなるたびに動きます。

能力で引いた線はAIの進化で動く。誰が正しさを決めるかの線は会社が引く
図3 線を引く基準は、能力ではなく「誰が正しさを決めるか」

ここで言う「会社の正しさ」は、用語が合っているかだけではありません。何がうちの価値で、お客様に何を約束し、何を承認の基準にするか。各社が自分で決めて、更新し続ける判断の基準を、私はまとめてこう呼んでいます。自社の基準を渡さなければ、AIの答えは一般論に寄り、どの会社でも似たものになりがちです。それでは差がつきません。

基準をつくるのは、AIにブレーキをかけるためではありません。フルスロットルを踏めるようにするためです。

作業は、内でも外でも。正しさは、会社が持つ。作業の担い手や道具は、社内でも社外でも選べます(情報の扱いは、各社のルールに従います)。選べないのは、何を正しいとするかの承認と変更です。人は異動も退職もしますが、部門は残ります。

マーケティングは、お客様にとっての本当の価値を見つけて、会社として約束できる形に決め、届け続けることだと考えています。施策をこなす仕事の多くは、AIに渡っていくと見ています。マーケターは一周回って、本来のマーケティングを担う人に戻る。だから、AIの時代にマーケティングの重要性は高まると思っています。

3. 進め方:AI Planning Sheet で型を渡し、正しさを会社に残す

3-1. AI Planning Sheet:頼む前に、人が決めることを1枚に実際にやったこと

AIに仕事を頼む前に、人が決めることを1枚に書くシートです。ワークショップでは、このシートを使って、参加する人が自分の業務を1件組み立てます。

AI Planning Sheet:A〜Dは人が決め、EはAIが提案し人が選ぶ
図4 A〜Dを人が決めて、EだけをAIに考えてもらう

プロンプト集を配らないのは、型を道具の外に置きたいからです。道具が変わっても、決めることは変わりません。

AI Planning Sheet(白紙・Excel)をダウンロード 社内の勉強会などで、自由にお使いください。改変も構いません。販売や、有料の教材に含めての配布はご遠慮ください。

3-2. 正しさの構築は、1行から考え方

AIの出力を人が直したら、それが会社の正しさの種です。

拾う、1行にする、減ったかを見る、任せる範囲を広げる、の循環
図5 拾う → 1行にする → 減ったかを見る → 任せる範囲を広げる
  1. 拾う AIの出力を直した箇所を、捨てない。直した回数が多いところに、会社の正しさが眠っています
  2. 1行にする 「何を/どの事業・用途で/何を正解にしたか/誰が決めたか/いつ」を1行で残す。表計算の1行で十分です
  3. 減ったかを見る 同じ修正が減ったら、それがAIに任せる範囲を広げる根拠になります。広げるかどうかは、間違えたときの影響の大きさと、扱う情報のルールもあわせて見て決めます

説明用の例 メールの定型文をAIに書かせて、毎回直している場合の1行です(架空の例です)。表計算なら、この5項目を横に並べた1行になります。

何を「ご査収ください」
どの事業・用途で社外向けの見積もり送付
何を正解にしたか「ご確認ください」に統一する
誰が決めたか営業部の責任者
いつ2026年10月

3-3. 10日・30日・90日:やりっぱなしにしない実際にやったこと

ワークショップの最後に、その後の動きまで決めます。

当日、10日以内、30日以内、90日以内の時間軸
図6 ワークショップの日から90日まで
  • 10日以内:同じメンバーで、もう一度集まる。日付だけは、その場で決める
  • 30日以内:実務の1件で試し、入力・出力・直したところを残す
  • 90日以内:続ける/直す/やめるを決め、広げる範囲を決める

この型は、一生使ってもらうものではありません。守破離の「守」です。型から出ていただくための出発点として使ってください。

4. お手伝いできること:研修・導入・登壇・取材

ご相談内容持ち帰っていただけるもの
研修・ワークショップAIに仕事を頼む型を学び、参加する人が自分の業務を1件、AI Planning Sheet で組み立てる① 一人ひとりが、自分の業務で試す1件を組み立てたシート
② 10日・30日・90日の次の一手を、その場で書いたもの
③ 社内で使い回し、直していける型。道具が変わっても使え、私に頼り続ける必要はありません
AIの導入AIを組織に入れるときの進め方を、一緒に決める。何から任せるか、どの情報なら使ってよいか、試してから現場に広げるまでの順番① 最初にAIに任せる業務と、使ってよい情報の線引き
② 小さく試してから広げるまでの順番と、続いているかを見る目安
③ 人が直した中身を次に生かし、正しさを会社に残す仕組みの考え方
登壇組織でAIを広める当事者として、現場で試したこと、うまくいかなかったことから話す道具の紹介ではなく、組織で回すときの判断の材料
取材AIと仕事、マーケティングとAI、組織での広め方企業の中でAIを広めている当事者としての視点(公開できる範囲で)

こんな組織に向いています。

  • AIのツールは入れたが、現場で使われ続けていない
  • 何からAIに任せればいいか、決められない
  • AIの出力を毎回直していて、同じ修正を繰り返している

ご相談は、この個人サイトで受け付けています。勤務先のサービスの窓口ではありません。会社員として、勤務先のルールの範囲でお受けしています。内容と日程をうかがい、ルールに照らして、お受けできるかをお返事します。

5. この仕事を続けている理由実際にやったこと

最初の仕事は、Macの専門誌の編集者でした。それから、紙からWeb、EC、SNS、マーケティングの自動化、そしてAIと、仕事の道具が変わるたびに、それを会社で最初に試す係をしてきました。AIは、私にとって6つ目の道具です。

最初からうまくいったわけではありません。AIを使い始めたころも、人が直した中身が次に生かされず、同じ修正を何度も繰り返していました。道具が変わっても、変わらないものがあります。何を正しいとするかを決めるのは、人で、会社です。

くわしい経歴は「デイブ田中/田中 訓(たなか さとし)について」に書いています。

6. ご相談・関連する発信

研修・ワークショップ、AIの導入、登壇、取材のご相談は、お問い合わせからお願いします。フォームの最後に、研修のご相談の方向けに組織名や目的を書く欄があります。

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  • 2026年10月12日:公開